難解な語学も、身につければ
真理の鉱脈を探る道具になる。
「説教学」が神学校の総仕上げだとすると、新約聖書の言語であるギリシャ語を身につけることは、牧師の基礎の基礎、土台です。だからこそ、必修科目なのですが、難しいからと腰が引けたまま消極的に授業を受けていては、もったいないと思います。
もちろんアルファベットも違えば、単語の活用、時制の変化など文法は複雑ですし、暗記することも山ほどあります。私は3年次編入生ですので、入学当初は前期に2コマ、後期に1コマの授業を受けねばならず、授業の進むスピードと膨大な課題にたいへんな思いをしましたが、単語カードを作ったり、声に出して唱えるなど身体で覚えて乗り切りました。
東神大でギリシャ語を学ぶことの最大の幸福は、ご担当の三永旨従先生(講師)が、「ギリシャ語の原典で聖書を読んで福音を伝える……世の中にこんな素晴らしいことはない!」と、確信と情熱を持って教えてくださることです。その思いに共感した私は、他の聖書の言語も学びたくなり、学部4年生のときにヒブル語を選択し、さらにお隣のルーテル学院大学で互換授業※のラテン語も取りました。同時に学ぶコツは、あくまでも私の場合ですが「ギリシャ語は論理的でクール、ヒブル語は自由でやんちゃ、ラテン語はキチンとしつつ色気もある」と古典語3兄弟それぞれに固有の“人格”を見極め、違う恋人と付き合っているつもりで(笑)頭を整理することです。
こんなちょっとした工夫で楽しく勉強できますし、学生同士で予習復習を助け合うこともありますから、怖がることはありません。なんといっても、聖書の原典の言葉は、キリストの真理の鉱脈を探る道具。これを手にしたら、もっと深いところに手が届くと思い、ワクワクしながら学んでいます。
※互換授業:隣接するルーテル学院大学と東京神学大学で単位を認定する科目。