東京神学大学の神学生は自らの学びの場をしばしば“召命共同体”と称します。これは、本学に集う者は学生も教員も神の呼び出しに応えるために、つねに自らの召命を神の前に問いつつ、授業と研究はもちろん、毎日のチャペル礼拝、クラスごとの祈祷会を通して生きた神学の研鑽に励んでいるからです。このため入学に際しては、“召命”が厳しく問われます。学びへの興味、欲求だけでなく、福音の伝道として神に召されているのか。キリストの血の代価として罪から買い取られたことを心に刻み、これまでの自分を捨て去って主イエス・キリストに献身する決意があるかどうかという問いです。なぜなら、伝道者を目指して神学を追究するには、学問を究める理性と神と向き合う霊性がひとつになることが大切だからです
東京神学大学は、戦後1949年に日本基督教団立の新制大学としてスタートしました。しかしながら歴史は古く、明治初期のブラウン塾に端を発し、多くのプロテスタント諸教派の神学校が合流してできた合同神学校(ユニオン・セミナリー)です。神学教育機関として各神学校の伝統を引き継ぎつつ、日本のプロテスタント諸教会が総力を注いで育んだ高度な神学教育を提供しています。
「教会による、教会のための大学」という意味は、本学の神学生が必要とする経費(年間約300万円/1人)のうち、およそ半分を全国各地の諸教会からの献金で支えられていることからも明らかです。神学生は、そのような諸教会からの推薦を受けて入学し、学びを終えて卒業したときに、ほとんどがこれらの諸教会に派遣されます。
キリスト教学校に派遣されて若い魂に福音を語ることも、“伝道者”、“牧師”の働きです。東京神学大学の大切な使命の一つとしてプロテスタントのキリスト教中学校、高等学校における宗教科・聖書科の教師(教務教師)を養成することも挙げられます。本学では、通常の神学教育プログラムと並行して教育免許状の取得課程があり、これまでも多くの教員を送り出してきました。彼らの学校での働きの中らも、次世代を担う多くの受洗者、献身者が起こされています。
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