聖書学/聖書神学とは、私たちの礼拝の中で朗読される聖書に、何か伝えられているかを解明する学問です。説教は、教会によってたてられた説教者が、聖書に基づいて語るときに、神の言葉として聞かれます。説教者が自分の思いを語るのではなく、聖書が証しするキリスト御自ら語ってくださいます。
しかしどのようにして、説教者の勝手な読みこみと、聖書それ自体が聖霊によって証言する主の御心を聞き分けることができるのでしょうか。聖書学/聖書神学は、聖書のテキストを、それが語られた歴史の中に戻し、本来どのような歴史の中で、何を告げようとしたものなのかを解明します。またそのテキストが、どのように伝えられ、解釈されてきたかを学びます。それによって、私たちの読みを批判し、吟味するのです。学んだ人は、聖書の成立や伝承の歴史を知リ、釈義の手法を身につけ、語学、文献学、文学、歴史学、考古学といった財産を得ることになります。
組織神学は、神の恵みの真理をできる限り深く解明し、それを責任的に証言しようとする学問です。「教義学」は、神の啓示を証言する聖書に基づき、父・子・聖霊なる三位一体の神とその御業を、体系的、組織的に考察します。「倫理学」は、キリスト者と教会が具体的な生活の場でどのように振る舞い行動すべきなのかを考察します。そして「弁証学」は、現代社会にあってキリスト教に向けられるあらゆる疑問に対して、福音の真理を明証しようとするものです。組織神学は、それら相互の関連を総合的な見地から明らかにし、一貫した整合的理路を見出そうとするものです。
神学は人間の業ですから、誰が試みた神学も完全ではありません。常に「より深く、より明らかに」祈りをもって神 の真理を解明し続ける旅人の神学です。そのようにして人類に、「世の光」としての神の真理を伝え、教会とキリスト者の信仰を支え、神の御名を讃美します。組織神学は知的興奮が神讃美に至る素晴らしい学問です。
歴史神学/教会史とは、歴史学という学問的ファインダーを 覗き、たとえれば2000年にわたリ世界史道路を走行してきたキリスト教諸教会バスの信仰的活動の歩みと、それらの信仰・実践の総資産を撮影し点検する学科です。「歴史神学」は、主に教会バスの燃料にあたる福音理解などの神学思想史、「教会史」は、バスの車体にあたる礼拝と祭儀、教会制度や組織的発展に注目します。それらの研究によって、現代教会の今後の形成のために具体的な諸指針を学ぶためです。
学部では、古代から現代日本までの教会の歩みを辿る教会 史T〜V、教理史(選択)、世界と日本の宗教史、ラテン語(選択)などを学びます。大学院では、古代から現代までの欧米、日本の教会の教理史、神学思想史、霊的生活史などの科目が開講され、学部での学びが更に深められるようコースが用意されています。
実践神学とは、もともと「牧者の学」「司牧学」と呼ばれていました。現在は「神の実践」すなわち「神の救済行動」を主題とすることを明確にするために「実践神学」と呼んでいます。牧師のつとめは、生きて働かれる「神の実践」に参加させていただくことです。「神の実践」とは「神の救済の御わざ」です。神の救済行動の中で人間が神の道具として用いられるために「説教学」「ネし拝学」「牧会学」「キリスト教教育学」「教会の法と制度」の学びが必要になります。
神が主導権をとってくださる時、人間が〈牧者・羊飼い〉としてたてられ、神に用いられる奇跡がおこります。一人の人間が〈牧師〉とされる「神の召命」について学び、自己吟味する課題も「実践神学」の重要な学びのひとつです。十字架の福音の伝道によって神の民を集め、神の国を待ち望む「日本伝道論」は、実践神学の主要な関心です。
1 略歴
2 研究、関心領域
3 主な担当科目