東神大パンフレット創刊の辞
混迷の時代といわれる。多くの混乱と対立、不安と困惑がキリスト教界の外においてのみならず、その内部にも見られる時代である。このような時に、東京神学大学がなしうることがあるとすれば、諸教会と苦しみを共にし、諸教会と対話しつつ、この混迷を抜け出る道を神学的に模索し、探求することであろう。このパンフレットはこのような意味における神学的奉仕として企てられたものである。
このような時代の中にあって、われわれの願うところは、まず福音に「堅く立つ」ということであり、さらに、この福音を現代世界の文脈の中でたえずとらえ直して、現代における生ける真理として宣べつたえることである。そのためにわれわれは福音の放つ光芒の根源にさかのぼってその本質をきわめ、またその光にてらされた現代キリスト者の生き方を探求するために、微力を尽くさねばならないと思う。
他の大学や教会と同じく、本学も過去二年間大きな嵐の中をくぐり抜けて来たが、その間にいよいよ深められた確信や、新たに見出された問題に対する解答が、本パンフレットに必ずや反映し、あるいは盛られていくに違いないと信ずる。われわれはこれを通じて日本における「福音の前進」のためにいささかなりとも寄与するところあることを願うものである。
1971年6月